実写版『鋼の錬金術師』は見る価値あり?なし?

「実写化決定!」の報道から、キャスト発表、予告編公開、試写会まで、新たな情報が報道されるたびに炎上を起こし続けてきた問題作、実写版『鋼の錬金術師』
原作ファンからは「ふざけるな!!」「これだけはやめてくれ!」
キャストファンからは「かっこいい!!」「可愛い!!」
などなど、様々な意見が行き交う中で、ついに12月1日という映画の日に公開が始まった。
初日から原作ファン、キャストファン、ファンタジーファンなど、多くの観客が押し寄せ、12月2日〜3日の初週ランキングでは見事、2位に約2倍の差をつけ、トップを獲得している。
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しかしその一方、SNSでは、公開初日から見に行く原作ファンが「勇者」と崇められるほど、まるで地雷のように認識されてきた今作。鑑賞者のツイートも、正直、荒れに荒れている。
果たして一体、そんな映画は見るにふさわしいのか。
そこで本記事では、誰もが気になる「果たしてこの映画は面白いのか!?」という疑問から「原作とはどう違うの?」「キャストはこれで正解なの?」という原作との比較、そして最終興行収入予測まで、公開後だからこそわかる【実写ハガレンの実態】に迫っていこう。
疑問1:実写版『鋼の錬金術師』は面白いのか?

まずは、最も重要なこの疑問。
もちろん筆者である私も、とりあえずは見てみようということで公開初日に見に行った。私個人の感想は後にするとして、まずはいくつかの映画レビューサイトを見ていこう。
比較対象として、興行収入10億円に満たないほどの大失敗実写映画となった『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第1章』を取り上げた。
① Filmarks
鋼の錬金術師:2.6
ジョジョ:3.2
② Yahoo!映画
鋼の錬金術師:2.19
ジョジョ:2.73
③ coco
鋼の錬金術師:35%
ジョジョ:67%
④ 映画.com
鋼の錬金術師:2.6
ジョジョ:3.2
ざっとこんな感じである(2017.12.4現在)
これだけを見ると、「かなりひどい!!!」というのがお分かりだろう。
続編製作がほぼお蔵入りになりそうなジョジョよりも評価が低く、他の映画全般と比べて見ても、かなり低い水準だ。
ツイッターでは、実写ハガレンに関する評価は主に以下の3つ。
「みんなが言っているほど悪くはなかった」
「特典の0巻が本命、映画本編がおまけ」
「CGは良かった」
という、なんとも微妙な感想ばかり。基本悪口の多いのがツイッターなので、簡単に飲み込んではいけないのだが、、、
一応、個人的な感想を言うと…?
筆者が見た素直な感想は…ごめんなさい。全然面白くなかったです。
ちなみに、原作は全巻持っていますが、2周ほどしか読んでおらず、アニメも見たことがない“ハガレンアマチュア”です。なのでそこまで原作に思い入れもないので、ある程度の原作改変やオリジナル化は許せるのですが…
映画としても、実写化映画としても、ファンタジーとしても、魅力を感じることはありませんでした。前日は8時間寝たのに、眠気が襲ってきたほどです。。。
ちなみに隣の男性の方、上映前から0巻を必死に読み込むほどの原作ファンのようでしたが、本編では合計5回ほどため息をついていました。終わった後、隣の恋人に「いやあ…( ´Д`)」と、声にならない叫びをあげていました。
疑問2:実写版のストーリーは?原作との違いは?

さて、筆者の勝手な意見を漏らしたところで、いよいよストーリー上の、原作との改変点を見ていこう。映画のストーリーをベースに、原作マンガではどうだったのか。どこをどう繋げたのか。を結末まで紐解いていく。
ちなみに映画のキャラクター相関図がこちらだ。大まかなキャラクター設定は特に変わっていない。

公式サイトより引用
なお、ここからは映画の核心に触れるネタバレを完全に含んでいるので、劇場で見てからにしたいという方は、見ないことをお勧めする。
【ネタバレ注意】原作と映画のストーリーの違い まとめ
【1】幼きエドとアル、錬成に失敗

まずは、主人公であるエドとアルの少年時代が描かれる。
西洋のとある草原の一軒家で、楽しく過ごしていた兄エドワード・エルリックと弟アルフォンス・エルリックだが、元気な彼らを独り身で養って来た母親が急死してしまう。
幼い頃より錬金術を学んで来た二人は、母親を生き返らせるため、大人一人分の材料(水など)を用意し、錬成に挑む。
しかしそれは完全に失敗。なぜか突風が起き、家が破壊されるとともに、アルが異空間へと吸い込まれてしまう。
エドは右手と左足、そしてアルは体全部を失ってしまうのだ。
そして画面が暗くなり、このタイミングで、なぜかタイトルロールがドーン!と。
一部ではこの出しかたをハリーポッターのパクリだと言っていたが、そう言われてみると…
〔原作〕
ちなみに原作では、この部分は第1話で描かれない。このシーンがしっかりと描かれるのは、コミックス6巻だ。

ここで一言!
おそらくこの冒頭5分は、多くの観客をがっかりさせた。
なぜなら、子役の金髪がまるでスプレーで被せたかのように完成度が低く、そして演技が学芸会レベルだからだ。エド達のお母さんの髪色も赤いのだが、これもウィッグ感がすごい。
家がボロボロになるシーンも、CGは良いのだが、この時のアルが、なぜか1メートル四方に破壊された床に乗りながら吸い込まれていくのだ。まるで「アラジン」の魔法のじゅうたんのよう。
【2】エドと神父が追いかけっこ

そして、ついに現代のエドが登場。いきなり石丸謙二郎演じる神父との錬金術バトルが始まる。
神父は、不思議な力を秘めている“賢者の石”を使い、建物を変形させたり、怪物を生み出したりすることでエドに攻撃を仕掛けながら、逃げようとしていた。
それに対し、エドは持ち前の錬金術を披露。石の地面から武器を作り、怪物達を倒していくのであった。エドの目的は“賢者の石”。自分たちの体を取り戻すため、大いなる力を持つ賢者の石を求めて旅に出ていたのであった。
そんな中、中身が空っぽの甲冑へと姿を変えたアルが加勢に加わる。

アルはエドよりも体術に長けており、肉弾戦ではかなり強い。もちろん甲冑なので痛みも感じない。
〔原作〕
原作でも神父が出てくるが、原作の方がよりずる賢く、悪どいキャラクター。実写版での神父は、正直石丸さんにしか見えなかったのだが…笑

バトルシーンの演出に関しては、武器の生成やセリフなど、忠実に再現されている。


ちなみに原作でもエドの扱いはこんな感じ

ここで一言!
確かにこのシーンのCGにはこだわっていたし、錬金術ならではのバトルシーンに仕上がっていたように思える。だが、どうしても気になったのが、“エドとアル、そして神父以外、村人が1人も住宅地にいない”ということ。ここが本当に現実離れしている。
広場のようなところで何人か村人が出て来たが、彼らのコスプレ感も異常に強く、会話どころではなかった。
ちなみに映画でエドが敵としっかり戦うのはこのシーンのみ。のちに説明するが、今回エドは敵を一人も倒していない。
【3】ロイ・マスタング大佐が登場

エドと神父がワイワイやっている間に、ディーン・フジオカにしか見えないロイ・マスタング大佐率いる軍が割り込み。
神父を捕らえ、そして騒ぎを犯したエドも連れて行かれる。ちなみに神父のつけていた賢者の石はパチモンだった。
ロイ・マスタングは炎を発生させる“焔の錬金術師”。エドとは知り合いで、同じ国家錬金術師であり、軍の狗として同じ組織に所属している。
また、ここでエド達を監視する不審な人物の姿が、、それが、のちに登場する敵キャラ達ホムンクルスだ。
〔原作〕
ロイ・マスタング大佐は原作でも超絶人気なキャラクターだが、実写版でのキャラ設定変更がかなり批判されている。

話し方も少し特徴があるのだが、実写ではほぼディーン・フジオカそのまんまであり、ただのコスプレにしか見えないともささやかれている。
ちなみに原作では、このシーンでマスタング大佐は登場しない。一本の映画にするためにかなり端折っている。
ここで一言!
マスタング大佐の攻撃方法について、多くの意見が寄せられている。原作では、指を鳴らすとある場所に炎を発生させるのだが、実写では、なぜか指から火炎放射のように炎がぶおおおおおっと出てくる笑 マスタングファンにとっては腰が抜けるシーンだろう。
また、神父はここで軽く逃げ出す笑。政府の軍にあってはならないはずなのだが…それをなんともなしに逃がすマスタング大佐も頭がおかしい。
【4】ウィンリィ、ヒューズ中佐が登場する


エドは軍に連れられるが、その施設で友人のヒューズ中佐、整備士のウィンリィと再会。
12歳という若さで国家錬金術師の資格を得たエドは、小日向文世演じるハクロ将軍にも一目置かれる存在で、ハクロ将軍は彼を助けてやってくれないかとマスタング大佐に頼む。
そこでマスタングは、エド達の体を取り戻すヒントを見つけるため、エド達にキメラ(合成獣)の研究をしているショウ・タッカーを紹介するのであった。
〔原作〕
原作のウィンリィは、エド達の冒険についてくることはなく、自分の家で拠点を張っている。
それもそのはず、実写版でのウィンリィの荷物だけでは、エドの複雑な機械鎧をしっかり整備できるはずがないのだ。ウィンリィ荷物少なすぎ!!
ちなみに原作でウィンリィが登場するのは、この後説明するショウ・タッカーの物語より後のことで、実写版のようにガッチガチのヒロインキャラではない。
原作のウィンリィとヒューズ中佐がこちら。

ウィンリィは、実写版ではかなり笑顔あふれる女の子!という感じだが、原作ではもう少しボーイッシュな外見で、本田翼とはイメージが少し離れている。
ディーン・フジオカと同じく、本田翼演じるウィンリィも、原作のキャラクターを再現できなかったようだ。2人とも、かなり大根と言われているよう…

一方、佐藤隆太演じるヒューズは「そのまんま!」と大絶賛されており、数少ないハマり役の1人。というのも、佐藤隆太本人のイメージがヒューズ中佐とかなり被っているし、ヒューズ中佐の顔がそれなりに日本人っぽいので、別に佐藤隆太の演技が特別良かったわけではなく、演じるキャラ自体が当たりだったのではないかと思う。
このあと登場する、松雪泰子演じるラストも同じことが言える。確かに演技も素晴らしかった。
【5】人造人間(ホムンクルス)達が登場

一方、逃げ出した神父はというと、本作品の敵キャラであるラスト、グラトニー、エンヴィーのもとを訪れていた。そして、何やかんやで殺され、グラトニーに食われる。
彼らはホムンクルスと呼ばれる存在で、それぞれ特殊能力を持っている。何らかの目的で暗躍しているようだが…?
〔原作〕
原作のラスト、グラトニーはこんな感じ。

実写版の登場シーンでも、グラトニーはしっかりドラゴンの脚を食べていた笑
また、エンヴィーはこの時には登場せず、のちに正体が明らかになる。

ここで一言!
実写版では、ホムンクルスは3体しか出てこないが、実は原作では全員で7体のホムンクルスが登場する。そして、7体それぞれの名前が、“七つの大罪”をモチーフにして、名付けられているのだ。
ちなみにラストは「色欲」、グラトニーは「暴食」、エンヴィーは「嫉妬」
つまり彼ら以外にも4体のホムンクルスが登場し、エド達との戦いを繰り広げるのだが、これが出ないとなると、“七つの大罪”である意味もなく、面白さが激減してしまうのではないか。
【6】エドは毎晩同じ夢にうなされていた

その夜、エドは寝室で休みを取っていたのだが、少年時代のあの事件が夢の中で何度も蘇り、うなされてしまっていた。
このシーンで、彼らはどうして体を失ったのか、というオープニング後の展開が明かされる。
アルフォンスが連れて行かれ、自身も左足を失ったエド。しかも、錬成した母の姿は、この世のものとは思えない怪物のような姿だった。
たった一人の弟を取り戻すため、エドはアルの魂を、自分の右腕と引き換えに取り戻すのであった。
ここで重要になってくるのが、エドの感情が入り込む、「真理の扉」という異空間。そこで、俺はお前だと名乗る真っ白な存在と出会い、エドの体を次々と奪っていく。
実際に存在する場所ではないが、錬成術に潜む危険な部分を、こういった描写でよりファンタジーに描いているのだ。
〔原作〕
原作では、コミックス6巻で、この事件を含んだエド達の少年時代がより詳しく描かれている。

この部分での原作からの改変点は全くなく、この、真っ白な存在も、それなりにうまく表現できていた。

ちなみに、これは少年時代のお話なのだが、あくまで成長したエドが見る「夢」という設定なので、全てのシーンを山田涼介が演じている。原作を知っている人からすればちょっと違和感が残るが、大人の事情だろう。
【7】ショウ・タッカーの家へ到着

さてその翌日、ショウ・タッカーの家へ行くと、そこには娘のニーナと、ペットのアレキサンダーがいた。
ウィンリィやアルがニーナと仲良く遊んでいる中、ショウ・タッカーは自身の錬金術師としての国家資格が剥奪されそうであることに焦りを感じていた。
エドとウィンリィは、ショウ・タッカーがアルの容態を調査している間、賢者の石についての情報を握っているという、ドクター・マルコーを探しに行く。
〔原作〕
原作では、エド兄弟について行くのはウィンリィではなく、マスタング大佐。
また、途中でドクター・マルコーのところに行くという展開も実写版での改変であり、原作でのショウ・タッカー編はたった2話ほどしかない。
ショウ・タッカー演じる大泉洋に関しても、ほぼネタとして「大泉洋を演じる大泉洋」などとバカにされているが、演技的には全く問題なかったと思う。

【8】エド&ウィンリィ、ドクターマルコと会う

さて、無事ドクター・マルコーを見つけたエド達だが、家を訪れるといきなり銃を向けられる。
ドクター・マルコーは昔、賢者の石を生成していた錬金術師の一人で、今はその一味から逃亡し、隠居生活を送っていたのだ。
そんな中、いきなりラストが登場する。マルコーは銃で応戦するが、エドとウィンリィは捕らえられ、マルコーは心臓を突き刺されてしまう。口封じのためだ。
その死に際、マルコーはエド達に、賢者の石に迫るヒントを渡すのであった。
〔原作〕
まず、原作ではドクター・マルコーはここで死ぬことはなく、のちにエンヴィーを倒すほどの活躍を見せるキャラクター。
またこの時、ラストには銃ではなく、持ち前の錬金術で見事な攻撃を見せるのだが、実写版ではめちゃくちゃ弱いただのおじさんにすぎなかった。

ちなみに、原作ではウィンリィではなく、軍のアームストロング大佐が同行する。かなり暑苦しいおじさんで、大人気キャラクターだったのだが、実写版では登場しなかった。
【9】タッカーが娘とペットを材料に錬成を行う

悲しみにくれるエドがタッカーの家に帰ると、タッカーが人語を話すキメラを生成することに成功していた。
はじめは感心するエドだったが、そのキメラが「おにいちゃん、あそぼ」と言い放ったことから、その正体がニーナとアレキサンダーだったことに気づき、激怒する。
悪事を働いたタッカーは軍に捕まりながらも、アルに「また会おう」と意味深な発言をするのだった。
〔原作〕
原作でもこの展開があり、多くの読者がこれでトラウマになったという。
その有名シーンは、実写版でもしっかりと描かれており、セリフも全く同じだった。
また、原作を読んでいない人からすれば、キメラのビジュアルが雑だと感じる方もいたかもしれないが、実はこれはかなり忠実に再現されている。

ちなみに原作のタッカーはこの後、錬金術師狩りの「傷の男(スカー)」によって、殺される。
実写版では生きているようだが…?

【10】エドとアルが喧嘩

手がかりを見つけるため、マルコーに指定された書庫に向かったエド、アル、ウィンリィの3人。そこで、アルとエドが兄弟喧嘩を始めてしまう。
実は、アルはエドの不在中にタッカーから「魂も兄によって人工的に作られたものだったらどうする?」と言われ、それがずっと引っかかっていたのだ。
それをウィンリィが仲裁し、「たった二人の兄弟じゃないの!」と、アルの間違った憶測に怒りをぶつける。
拳や本音をぶつけ合うことで、兄弟愛が再び深まった二人であった。
〔原作〕
原作でもこの兄弟喧嘩のシーンは収録されているが、アルはタッカーさんに言われたのではなく、バリー・ザ・チョッパーと呼ばれる、アルと似た体を持つキャラクターと出会い、カマをかけられていた。

なので、兄弟喧嘩のシーンも、タッカーの出来事よりずっと後に起こることで、この部分でストーリーの縮小が行われている。

【11】ヒューズ死す

そんな中、一人で調べ物をしていたヒューズ中佐。ついに賢者の石に迫る重大な手がかりを見つけるが、そこにラストが登場し、口止めを図ろうとする。
持ち前の瞬発力でとっさにナイフを投げ、その場から逃げ出したものの、マスタング大佐に連絡しようとした公衆現場で、マスタング大佐に化けたエンヴィーに邪魔をされてしまう。
本物のマスタング大佐が電話に出たことから偽物だとわかったヒューズは攻撃を仕掛けるものの、標的が愛する妻の姿に変貌。躊躇してしまったヒューズは、銃で撃たれ死んでしまう。
〔原作〕
原作でもこのシーンはしっかり収められており、その後にはヒューズの葬式まで執り行われる。

また、公衆電話のシーンでエンヴィーが化けていたのは、原作ではマリア・ロス少尉であった。

【12】舞台は元捕虜収容所へ

エンヴィーの策略により、マスタングが裏切ったという噂が流れ、エドや部下のホークアイは一度は軍に連行されるものの、すぐに脱出。軍のセキュリティ弱すぎだろ…
エド達が向かった先は、軍が秘密裏に人体実験を行っていた元捕虜収容所だ。
マスタング大佐はロス少尉らに取り囲まれるものの、ロス少尉がエンヴィーによる変装だと気付いたマスタングは彼女を焼き殺す。(気づいたトリックは原作でのヒューズと一緒)
ラストに反撃され、深手を負うも、この場は任せろと言い放ち、エドを先へと進ませるのであった。
〔原作〕
このシーンはほぼ実写オリジナルであるが、マスタングが裏切ってロス少尉を焼き殺す、という展開は原作にも収録されている。(全く関係ないストーリー上だが)

ここで一言!
個人的に最も残念だったのが、ホムンクルスの一人であるグラトニーの扱いだ。
実写でも腹の大口を開けるシーンはあるが、下にあげたような厄介な能力は全く使わず、ドタドタと歩いて「まてー」と追いかけるだけで全く強さを感じない。
結局こいつは戦いもせず、死にもしないのだが、原作を知らないものからすれば、結局何だったのだろう…という、ただのアホキャラになっているだろう。

ちなみにその歩いて襲うシーンで、私は一番笑ってしまいました。
【13】軍の陰謀が明らかに

さて、エドが収容所の中に入ると、捕まったはずのショウ・タッカーが逃亡し、ウィンリィとアルを人質にとっていた。
さらに、小日向文世演じるハクロ将軍が、何人もの命を犠牲にして究極の軍隊を作ろうと、最低な実験を重ねていたことが発覚し、ハクロ将軍も姿を現す。
実は賢者の石は人の命によって錬成された悪魔の石で、しかもそれを指示していたのは、軍の上層部だったのだ。はじめからホムンクルスとハクロ軍曹は繋がっていたのだ。
賢者の石を埋め込まれ、解き放たれた人ならざる化け物軍隊たち。タッカーは口封じでラストによって殺され、ハクロ将軍はなぜか自らが作り出した軍隊に食い殺されてしまう。一体何だったんだハクロ将軍笑
〔原作〕
この軍が秘密裏に作り出していた軍隊というのは、原作でも登場し、それをヒントに実写化されている。しかし、原作で登場するのは第22巻のことで、かなり終盤に近い段階で解き放たれるのだ。
そんな後の話まで盛り込んでしまって、大丈夫なのだろうか。
また、ハクロ将軍というのも、原作では全く活躍しないキャラクターで、ホムンクルスとも繋がっているわけではない。この部分は、かなりの改変が加えられている。

ここで一言!
解放された一つ目の化け物達。ビジュアルはまあ許せるとして、ただの雑魚キャラ。生みの親を食い殺すほどのアホな知性を持ち、言葉も発せず、あーあーとただ歩いて襲ってくるだけ笑
また。解放されたアルがエドを助けるために檻を作ったのだが、間隔がスカスカすぎて、頑張れば通れるはずなのに、一つ目くん達は手を伸ばすだけで一向に進まない笑
このシーンも、笑み一つこぼれない残念すぎるシーンだった。
【14】めちゃくちゃな最終決戦

さて、なんやかんやで最終決戦へ。ラストとエンヴィーを追い詰めたエドは、傷を焼くことで止血したマスタング大佐も合流し、最後の戦いに挑む。
何度攻撃しても蘇るホムンクルスであったが、その命は限りあるものであることがばれ、残り1回で死んでしまうエンヴィーは慌てて逃げたものの、マスタング大佐に焼き殺される。
続いてラストも、マスタングによって何度も焼き殺され、胸元の賢者の石を抜き取られたことにより、絶命する。
実はラスト達も、賢者の石によって生み出された怪物達であり、エド達がずっと探していた“賢者の石”は、人間達の邪悪な行動によって作られたものであったのだ。

一方、一つ目くん達はというと、ホークアイ率いる銃撃隊にあっさり撃ち殺される。頭をぶっ放すだけで死ぬという、最弱の怪物軍隊。結局何だったんだろう笑
〔原作〕
この辺りも完全な実写オリジナルストーリーだったが、原作でも、ラストとマスタングの戦いはしっかりと描かれている。

ここで一言!
実は、実写版の大きな過ちが1つある。
実写版では、マスタングはラストから賢者の石を抜き取ることによって、勝利を手にしたのだが、厳密に言えば、賢者の石こそがホムンクルス達の源であり、賢者の石さえ無事であれば、何度でも再生できるのだ。
この変更点が、重度な原作ファンにとっては許せない部分であっただろう。

しかし、、、実写版はラストシーンでも、迫力が全く感じられなかった。。
しかも、「エド結局何もやってないじゃん!!」とツッコミたくなるだろう。だって、ホムンクルス倒したのって、全部マスタング大佐じゃん笑
【15】そして物語は続く…

賢者の石を手にしたエドは、一度それで真理の扉へ向かうが、やはりそれでは上手くいかないようだ。
しかしその時、エドは真理の間で、痩せこけた現代のアルの姿を発見。アルの体は完全になくなってはいなかったのだと、確信を持てたエド達は、次なる方法を求めて、新たな旅へと出かけるのであった。。。(終)
〔原作〕
痩せこけたアルの姿は、それなりに実写化できていたが、原作と異なっている部分が一つだけ。
原作では真理の扉がエド用、アル用2つあるのに対し、実写版では1つしか存在していなかった。
だからと言って致命的な問題は発生しないが、少しだけ気になったので紹介しておこう。

【16】まさかのおまけシーン

そしてエンドロール後に、まさかのおまけシーンが。
焼き殺されたはずのエンヴィーから、何やら小さい化け物が飛び出し、逃げていくというシーンだ。
このシーン、原作を知らない人にとってはまるで意味がわからないと思うのだが、これはエンヴィーの真の姿。
原作でも一度はドクター・マルコに倒されるが、この姿になってなんとか生き残り、その後も何度か復活する。

このエンドロールを踏まえると、まだエンヴィーが生きており、グラトニーも生きている。ラストだけが死んでしまった。この部分だけで言えば、原作と全く同じストーリー展開になっている
製作陣は、もし成績が良かった場合、あわよくば続編を作れるように用意したのだろう。
果たして、このクオリティで、続編など賛成されるのだろうか…
以上が、実写版『鋼の錬金術師』のあらすじ・ネタバレ・原作との違いである。
こんなところもアカン!細かいダメ出し
もう少しだけ、実写版について個人的に気になった部分をご紹介しよう。
「ホムンクルス達って結局何しにきたの?」状態になってない?
ラストなどのホムンクルス達は、インパクトこそ強かったものの、原作を知らない人からすると、「この人たち結局何がしたかったの?」という莫大な疑問が浮かぶだろう。
しかも、映画のセリフでエドのことを「人柱」と呼ぶシーンがあり、これは原作に忠実なのだが、本作でそれが一体何を意味するのかは、ほとんど語られていない。

このホムンクルスたちは、原作ではもっと目的を持った団体として、「お父様」こと大ボスの元で暗躍しており、映画のように軍の人間と手を組んで何かを企てるようなこともない。
原作を知っているものからすれば、この改変はある意味とても悲しかったのではないか。
これ、バッドエンドじゃない?
ラスト10分くらいだけ見ると、まだ体を取り戻す可能性は残っていると確信できたので、心機一転、新たな方法を求めて、これからも旅を続けていこう!という良い感じで終わるのだが、映画全体として見ると、エド達にとって全く良い事が起こっていないのではないか。
大親友であるヒューズ中佐は殺され、仲良くなったニーナも変わり果て、兄弟喧嘩は起きるわ、ホムンクルスに命を狙われるわ、結局体は取り戻せていない。
彼らにとっては何も前進していないストーリー展開に、原作を知らない方からも、反感を持つものが出てきても仕方がないだろう。
どうせなら、サクッと1つにまとめて体を取り戻して完結にすればよかったのに…
疑問3:山田涼介はぶっちゃけどうだった?
さて、忘れてはならないのが、本作の主人公エドワード・エルリックを演じた、山田涼介。
彼について少しだけ、なるべく他方から反感を買わないようにお話ししよう。
原作よりで、ジャニーズ全く興味なしの筆者が個人的に思ったのは、
「演技は決して悪くは無い。ただ、アイドル出てるよ!と見せつけるようなカメラワークが無性に気に入らない」
ということだった。
ジャニーズの中でも演技が上手い方として、幼き頃から多くのドラマや映画で主演を張ってきた山田涼介。そのキャリアは嘘ではなく、一人前の俳優として、しっかりと演技ができていたように思う。
だが、カメラの寄りが以上に大げさで、ファンでは無いこちらからするととても異様に感じる。ファンタジーで、バトル映画なのに、なぜこんなにも寄るの?笑
とは言え、この無性なカメラ寄りは山田涼介に限ったことではなく、他の美男美女たちはこぞってアップで映っているシーンが多い。
宣伝でキャストを推すのはいいが、映画自体で推してしまったら、「キャラクターではなく役者本人を見ろ」と言っているようなもので、元も子もない。
せっかくダークで原作ファンの多い作品を実写化するのだから、もう少し作品の雰囲気に重きを置いて、よりリアルに描くべきだったのでは無いだろうか。
疑問4:最終興行収入は?
さて、がっつり内容についてお伝えしたところで、最後にみんながよく気になっている最終興行収入を考えてみよう。
12月1日に公開された『鋼の錬金術師』は、最初の3日間で、興行収入3億7千万円という好成績を叩き出した。
これは、一般的には15〜20億が見込めるスタートであり、年末年始という良い休み期間も上映するので、うまくいけば大ヒット作品として名を連ねることができるだろう。
しかしネックなのが、ここまでかという低評価である。ネット時代の今、口コミというのは映画を見る際における大きな比較材料になっているため、興行成績に大きく関わるということは間違い無いだろう。
そのため、最終興行収入は、13〜15億程度ではないかと個人的に考えている。
果たしてどのように推移していくのか、これからの動向にも注目しよう。
以上、何かと話題の実写版『鋼の錬金術師』について、個人的な意見も含めてまとめてみたのだが、いかがだっただろうか。
この記事が、あなたの予習、復習、作品理解に少しでも役立てれば幸いだ。
実写化が成功する秘訣については、こちらの記事も参考にしていただきたい
実写版ジョジョについての考察はこちら!